1999 年 51 巻 4 号 p. 200-210
婦女新聞社や東京日日新聞社をはじめとする新聞社や出版社は,明治から大正にかけて一連の図書館活動を展開するが,この活動はあるユニークな特徴を有していた。それは,通常みられるような直接来館者への閲覧サービスではなく,郵便による非来館者へのサービスを指向していた点である。具体的なサービス活動としては,(1) 郵便による貸出,(2)読書会事業,(3)巡回文庫の3形態が実施されていた。その展開過程をたどり , さらに,サービス対象となった地方読者の視点から,その持つ意味を考察した。