2006 年 58 巻 4 号 p. 202-219
本稿は,企業図書館活動の推移を整理しながら,親機関に対する資料収集と情報提供サービスの内容と方法はどのようなものであるのか,という研究課題を設定して検討した。企業図書館活動の推移の整理には,質的内容分析の手法を用いて年代ごとに企業図書館に関する研究テーマと統計データの考察と分析を行った。その結果,次の四点が明らかになった。第一に,親機関の情報要求に的確に応え,競争力の維持・強化に貢献してきた点,第二に,そのために,一貫して相互協力体制を整備してきた点,第三に,情報技術の進展に伴い,資料情報の電子化・ネットワーク化に対応してきた点,第四に,インターネットで提供される情報以上の情報提供が求められている点である。