2007 年 59 巻 3 号 p. 174-187
北欧におけるマイノリティ住民への図書館サービスに焦点を当て,公共図書館の意義について検討した。まずサービスの現状とその基盤となる全国レべルでの制度について概観し,関連する調査と議論を分析した。マイノリティ住民へのサービスには,マイノリティとマジョリティの「統合」を視座に入れた展開がみられた。文化的に多様な背景を持つ利用者へのサービスをめぐっては,公共図書館という特定の場所に人々が集うことの意義が中心的議論となっており,館内における利用者間のコミュニケーションが今後の図書館サービスの課題であることが明らかになった。