2010 年 62 巻 3 号 p. 222-239
情報教育と学校図書館の関連についての考察を目的として,2009年3月発表の情報教育の指針『教育の情報化に関する手引』を,情報リテラシーの定義やその基準等に照らして分析した。結果として,電子情報への偏重,情報検索過程への言及の不足,読書活動との関連の視点の希薄さ,学校図書館・司書教諭の役割の軽視などの問題点が見られ,前回2002年の手引からの後退が指摘できる。図書館や読書活動との関連の視点の欠落は,日本の情報教育の課題であり,「生きる力」の育成のあり方にもつながる問題であるといえる。