2014 年 65 巻 6 号 p. 348-360
アメリカの図書館員は20世紀中葉から,専門職倫理の中枢をなす知的自由への認識を徐々に高めていったが,この移行過程での図書館学校の役割は,ほとんど研究されていない。本稿では知的自由の図書館学教育での発達段階を1930年代から70年代にかけて3期に区分し,知的自由がカリキュラムに組み込まれていった軌跡と背景を,1次資料を含めた調査により考察する。この時期,知的自由のカリキュラムでの地位を確立すべく,調査や研修会が行われたが,教育者間でその定義や教育基準を構築する合意にいたらなかったことを指摘する。