日本トキシコロジー学会学術年会
第36回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-60
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臓器毒性,代謝,毒性試験法等
Diheptyl Phthalate(DHP)のラットにおける26週間反復投与毒性
*國枝 正幹小林 吉彦赤根 弘敏諸角 芳友塚原 みゆき清水 茂一秋江 靖樹齋藤 明美門田 利人三森 国敏
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抄録

diheptyl phthalate(DHP)は,フタル酸エステルの一種で,di-2-ethylhexyl phthalate (DEHP)と同様に,塩化ビニル樹脂の可塑剤としてレザー,フィルム,シート,壁紙,雑貨及び塗料などに広く使用されている.DHPは,peroxisome proliferator-activated receptor alpha(PPARα)アゴニストに分類され,ラットに精巣障害及び肝重量の増加や肝細胞の肥大・空胞変性を誘発することが報告されている.しかし,遺伝毒性や発がん性については明確にされていない.最近の研究では,DHPのラットを用いた28日間反復投与毒性試験を実施したところ,肝臓に前がん病変が観察され,DHPがラットの肝臓において発がん性を示す可能性があることが推察された.そこで本試験は,DHPの発がん性の可能性をより明確にすると共に全身臓器・組織への毒性を検索する目的で,ラットを用いた26週間反復投与毒性試験を実施した. 【方法】雄F344/Nラットを3群に分けて各群にDHPを0,1000及び2000 mg/kg濃度で26週間反復強制経口投与し,一般状態の観察,体重,摂餌量及び摂水量の測定を行った.さらに,最終投与の翌日に血液学的検査,血液生化学的検査を行い,剖検後,臓器重量測定及び病理組織学的検査を実施した.また,肝臓については,GST-P抗体を用いた免疫組織学的解析を行った. 【結果】体重においては,DHP投与群で体重の増加抑制が認められた.逆に,摂餌量及び摂水量については,DHP投与群で増加傾向がみられた.現在,被験物質の投与実験が進行中であり,26週間投与終了後に血液学的検査,血液生化学的検査,臓器重量測定及び病理組織学的検査を実施する予定である.また,今後,DHPの遺伝毒性についても検索する予定である.

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© 2009 日本毒性学会
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