日本トキシコロジー学会学術年会
第38回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-52
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一般演題 ポスター
クロルピリホスの発達期暴露によるラット海馬歯状回顆粒細胞層下帯におけるニューロン新生への影響
*大石 巧Wang Liyun植松 正伸林 仁美谷合 枝里子嶋本 敬介剣持 明鈴木 和彦三森 国敏渋谷 淳
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抄録

【目的】クロルピリホス(CPF)はアセチルコリンエステラーゼ阻害作用を有する有機リン系殺虫剤である。今回、CPFの発達期暴露を行い、ニューロン新生への影響を検討した。【方法】雌性SDラットに妊娠10日から分娩後21日(離乳時)までCPFを0、2.8、14及び70 ppmの濃度で混餌投与し、生後21及び77日の児動物について、免疫染色により海馬歯状回顆粒細胞層下帯におけるPCNA陽性細胞数の検索を行った。また、生後21日では顆粒細胞層下帯でのT box brain 2 (Tbr2)、Doublecortin、TUNEL陽性細胞数、歯状回門におけるReelin、NeuN陽性の介在ニューロン数の検索も行った。【結果】児動物の体重は、用量依存性はないものの14 ppmで生後4から21日目まで有意な高値を示した。摂餌量及び一般状態に影響はなかった。生後21日において、児動物の血漿中コリンエステラーゼ(ChE)活性の有意な減少を14 ppm以上で認め、赤血球中及び脳内ChE活性の有意な減少を70 ppmで認めた。母動物では、血漿中及び赤血球中ChE活性の有意な減少を全投与群で認め、脳内ChE活性の有意な減少を70 ppmで認めた。免疫染色では、海馬顆粒細胞層下帯でのPCNA陽性細胞数の有意な減少が生後21日目の70 ppmで認めたが、生後77日には変化は認めなかった。また、生後21日目に顆粒細胞層下帯におけるTbr2陽性細胞数の有意な減少を70 ppmで認めたが、他には影響は認めていない。【考察】CPFの暴露終了時に70 ppmの児動物で、海馬顆粒細胞層下帯における細胞増殖の減少と共に、分化初期の細胞(type-2 cell)に発現する分子であるTbr2の減少が見出され、脳内ChE活性の減少を認めた濃度でのCPFによる発達期でのニューロン新生の抑制が示唆された。

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© 2011 日本毒性学会
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