日本トキシコロジー学会学術年会
第38回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-119
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胎生期に暴露されたインドメタシンがラット新生子動脈管閉鎖過程に及ぼす影響
*白井 明志竹ノ下 瑛莉浅井 史敏坂上 元栄山本 雅子有嶋 和義
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抄録
 動脈管は胎生期において肺動脈と大動脈を結ぶバイパスとして機能し、出生後は収縮閉鎖する血管である。インドメタシンは、ヒトや動物において妊娠末期の母体に投与するとその胎子の動脈管が収縮することは広く知られているが、胎生期に暴露されたインドメタシンが出生後の動脈管に及ぼす影響に関する詳細な報告はほとんどみうけられない。そこで、本研究では、妊娠末期に母体経由で暴露されたインドメタシンが新生子の動脈管に及ぼす影響について検討した。
 Wistar系ラットを用いた。妊娠20日目の13時にインドメタシンを母体に経口投与した。インドメタシンの投与量は1、3および10 mg/kgとした。対照群には同様に5%アラビアゴム溶液を投与した。妊娠21日目の13時に帝王切開によって新生子を取り出した。新生子は帝王切開後0、30、60、120および180分に急速凍結した。凍結した新生子の動脈管および肺動脈の内径を全身急速凍結法にて測定し、動脈管内径と肺動脈内径の比(DA/PA比)を算出した。
 インドメタシン1 mg/kg投与群では帝王切開後60、120分において、インドメタシン3および10 mg/kg投与群では帝王切開後30、60、120分において、新生子のDA/PA比は対照群と比較して有意な高値を示し、出生後の動脈管の収縮が抑制されていた。また、このインドメタシン投与群でみられた動脈管の収縮の抑制は用量依存的な変化であった。帝王切開後180分において、インドメタシン1および3 mg/kg投与群の新生子動脈管は対照群と同様にほぼ完全に収縮閉鎖していた。一方、インドメタシン10 mg/kg投与群では帝王切開後120分以降180分までにほとんどの新生子が死亡した。
 これらの結果から、妊娠末期に母体経由で暴露されたインドメタシンがラット新生子の動脈管収縮閉鎖過程を用量依存的に抑制することが明らかとなった。
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© 2011 日本毒性学会
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