日本トキシコロジー学会学術年会
第38回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: EL-3
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教育講演
医薬品経済とイノベーション評価
*川上 浩司
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抄録

医薬品分野においては、科学技術の進歩にともなって生じる発明や技術革新の成果は、そのままでは国民に享受されない。イノベーションの成果を医薬品や医療機器として社会受容するためには、企業や大学が自らの研究開発力を高める努力をするだけではなく、その結果生まれてきた新技術が適切に社会に提供されるような制度整備が必要であり、またその新技術がどの程度の臨床および経済効果を生むのかを適正に評価する方法論(ヘルステクノロジーアセスメント; HTA)が必須である。しかしながら、日本では、臨床疫学研究の成果によって実施される医療であるEBM(Evidence-based medicine)については相応の進展、理解があるものの、比較効用研究(comparative effectiveness research)などの手法を利用した経済評価ではずいぶん立ち遅れている。また、臨床研究の成果を最大限に活かすための IND制度導入などの整備も遅れているといわざるをえない。日本の科学技術や先進性が、社会保障の中で適切に評価されていないことを産業界としてどのように考えるのか、またどのように解決していくのかは、日本の医薬品・医療産業の浮沈にかかわるテーマでもある。本講演では、臨床研究制度の諸問題に加えて、ヘルステクノロジーアセスメントとは何か、そして医薬品経済評価の手法について概説する。

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© 2011 日本毒性学会
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