日本毒性学会学術年会
第41回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-87
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β遮断薬アセブトロールの毒性発現における薬物代謝の役割
牟田 恭尭*深見 達基中島 美紀
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抄録
【目的】β遮断薬アセブトロールを服用した患者において、まれに皮疹や薬物誘発性ループスが発症し、その指標として血漿中の抗核抗体産生が評価される。アセブトロールは体内でジアセトロールへ変換されるが、どのような代謝反応を介しているか、またどの酵素がその反応を触媒しているか不明である。本研究ではアセブトロールの代謝反応が毒性発現に関わっている可能性を考え、代謝酵素の同定ならびに抗核抗体産生への代謝物の関与を明らかにすることを目的とした。
【方法】ヒト肝ミクロソーム(HLM)等の組織画分や酵素発現系を用いてアセブトロール加水分解酵素活性およびアセトロールN -アセチル化酵素活性を測定した。雌性C57BL/6マウスにCyp誘導薬プレグネノロンカルボニトリル(PCN)、加水分解酵素阻害剤トリo-トリルホスフェート(TOTP)およびCyp阻害薬1-アミノベンゾトリアゾール(ABT)の併用投与条件下でアセブトロール(100 mg/kg/day)を30日間経口投与し、間接蛍光抗体法により血漿中抗核抗体産生を評価した。また、アセトロールとHLMまたはヒトCYP発現系を反応させ、LC-MS/MSを用いて毒性発現に関わる反応性代謝物を探索した。
【結果および考察】アセブトロールはヒトCES2によりアセトロールへ、その後NAT2によりアセチル化されてジアセトロールへ代謝されることを明らかにした。マウスにアセブトロールを投与した際、血漿中に抗核抗体が認められる個体が現れ、PCNの併用投与により陽性個体数が増加した。一方、TOTPやABTの併用投与により減少したことから、アセトロールの酸化反応が抗核抗体産生に関わっていることが示唆された。HLMにおいてアセトロールから代謝されて生成したニトロソアセトロールが反応性代謝物と推定され、主にCYP2C19がその生成反応を触媒していることを明らかにした。
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© 2014 日本毒性学会
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