日本毒性学会学術年会
第43回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-19
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優秀研究発表 ポスター
遺伝毒性及び非遺伝毒性物質を用いた甲状腺コメットアッセイの有用性検討
*辻 菜穂萩尾 宗一郎早川 知里黒田 雄介林 清吾阿部 正義古川 賢
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抄録
【目的】発がんの機序には遺伝毒性によるものと非遺伝毒性によるものに大別されるが、化合物投与により発がんが認められた際、その発がん機序が遺伝子障害性によるものか否かを明らかにすることは重要である。近年、DNA鎖切断を検出する手法としてコメットアッセイが汎用されているが、実施臓器は肝臓や胃など限定的であり、げっ歯類における好発がん臓器である甲状腺についての知見は少ない。今回、甲状腺でのコメットアッセイの有用性を確認するため、遺伝毒性及び非遺伝毒性発がん物質を用いてコメットアッセイを実施した。
【方法】8週齢のRccHanTM:WIST雄ラットに遺伝毒性発がん物質であるEthyl methanesulfonate(EMS)を200 mg/kgの用量にて単回強制経口投与し、投与3時間後に解剖、甲状腺を摘出した。摘出した甲状腺をポッター型ホモジナイザーにてホモジナイズし、細胞懸濁液を調製したのち定法に従いコメット標本を作製した。標本はSYBR Goldにて染色し、動物1個体につき150個の核について無作為に% tail DNA(% tail intensity)を計測し、有意差検定を実施した。
【結果及び考察】甲状腺における% tail DNAはEMS投与群で有意に増加した。EMS投与群は陰性対照群の約40倍の% tail DNAを示すことから明らかな陽性であると判断し、本試験系でDNA鎖切断が検出可能であることが明らかとなった。現在、甲状腺発がんを誘発するその他の遺伝毒性及び非遺伝毒性発がん物質を用いたコメットアッセイについても検討中である。
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© 2016 日本毒性学会
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