日本毒性学会学術年会
第43回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-20
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優秀研究発表 ポスター
サンドイッチ培養HepG2細胞を用いた毛細胆管形成阻害の評価
*額賀 巧関根 秀一廣田 衛彦田村 亜紀子桑田 奈々上月 裕一伊藤 晃成
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抄録
【背景・目的】薬物性肝障害の増悪メカニズムとして、我々は肝障害からの回復過程に対する薬物の影響に着目している。失われた肝細胞が補われる過程で肝細胞間に形成される毛細胆管構造は、肝臓の解毒機能に重要な胆汁排泄に必須である。これまで、初代培養肝細胞における毛細胆管形成阻害を調べることで各薬物の肝障害増悪リスク判定が行える可能性を示してきた(第41回日本毒性学会)。しかし、スクリーニングの効率性の観点から、初代培養肝細胞を本評価系に利用することには懸念が残る。そこで本研究では、ヒト肝癌由来不死化細胞HepG2がその代替となり得るかを検討した。通常のHepG2培養条件では胆管形成能が不十分なため、まずこの点を改善させるために培養法の改良を行い、次に最適化した条件で各種薬物による毛細胆管形成への影響を調べた。
【方法】各培地培養時のHepG2の毛細胆管側膜マーカータンパク質 (MRP2)を免疫染色し、胆管面積の増大を経日的に比較した。HepG2に薬物を曝露し、単位細胞数における胆管面積の減少をコントロールと比較することで薬物の胆管形成への影響を評価した。
【結果・考察】WEでHepG2を培養すると、胆管形成率、胆管面積ともにHepG2で一般に推奨されるDMEMでの培養時に比較して上昇した。Matrigelを上層したサンドイッチ培養HepG2ではさらに胆管の増大が確認された。これらを併用した条件で培養することで、初代培養肝細胞で毛細胆管形成阻害の見られたCyclospolin AやAmiodaroneなど複数の薬物においてHepG2細胞でも胆管形成阻害が確認された。HepG2をWE/サンドイッチ条件で培養することにより、通常のDMEM培養時には確認できない、薬物による胆管形成への影響が評価可能となった。今回見いだした培養法を用いることで、HepG2を既存の毛細胆管形成阻害評価系に代替利用できる可能性が示された。
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© 2016 日本毒性学会
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