日本毒性学会学術年会
第43回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-47
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一般演題 ポスター
グアネチジン処置ラットにおける上頚神経節神経細胞数と尿中MHPG濃度の相関性の検討
*檜杖 昌則C. SOMPSC. OKERBERGC-N. LIUM. BOUCHERI. PARDOJ. AUBRECHTC. NORTHCOTTM. ZAHNER
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抄録
近年,一部の薬剤において交感神経系での副作用の可能性を予測することの重要性が高まってきている。本研究では,交感神経節後神経の障害と交感神経出力の関連を明らかにすることを目的とし,交感神経終末で末梢性にアドレナリン遊離を抑制する作用を有するグアネチジンを用いてラットにおいて交感神経節後神経の障害を生じさせ,カテコールアミン代謝物である3-methoxy-4-hydroxyphenylethylene glycol (MHPG)の尿中濃度を指標とした交感神経出力の変化との関係を検討した。グアネチジン(100 mg/kg)を5日間または11日間腹腔内投与し,投与期間直後もしくは24~28日間の休薬後に上頚神経節(SCG)を採取した。また,同じスケジュールで採尿し,尿中のMHPG濃度をLC-MS/MSで測定した。SCGは,4%パラホルムアルデヒド溶液で全身還流固定した後に採取し,総神経細胞数を立体学的解析法(stereology)により定量した。グアネチジン投与期間直後の評価では,クレアチニン補正した尿中MHPG濃度は溶媒対照群に対して50%(3日目)~80%(11日目)低下した(p<0.05)が,立体学的解析では,神経変性や炎症細胞浸潤および神経根の腫脹により計数が困難であり,グアネチジン投与群の神経細胞数は溶媒対照群と比べ有意な変化は認められなかった。
一方,24~28日間の回復期間を設けた場合,炎症細胞の浸潤や神経根の腫脹は消失し,11日間連続投与したラットでのSCGの神経細胞数およびクレアチニン補正MHPG濃度はいずれも最大65%減少した(p<0.05)。以上のように,24~28日間の回復期間を設定することにより,ラットにおけるグアネチジン誘発尿中MHPG濃度と上頚神経節の神経細胞数減少の相関が認められた。
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© 2016 日本毒性学会
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