日本毒性学会学術年会
第43回日本毒性学会学術年会
セッションID: S5-3
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シンポジウム5 医薬品に係わる添加物と剤型革新における安全性評価
医薬品に係わる新添加物の安全性評価における諸課題
*小島 肇
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抄録

日本薬局方によれば、医薬品製剤に使用される添加剤の安全性については、“その製剤の投与量において薬理作用を示さず、無害でなければならない”と記載されている。昨今では、医薬品に使用される添加物については、自主的に全てのものが表示されており、使用されている添加剤は製剤中の使用範囲で安全であることで使用されている。それがどのように安全であるかなどの詳細な情報が日本医薬品添加剤協会のホームページにおいて公開されており、医薬品に係わる規制当局、医薬品業界、添加剤業界、医療機関、薬局関係者等が医薬品添加物の安全性に関する情報を広く共有することができている。
 一方で、新添加剤の許認可においては、新原薬と同レベルで安全性が評価されることが求められており、単回投与毒性、反復投与毒性、遺伝毒性、がん原性、生殖発生毒性、局所刺激性等の毒性に関する資料が必要となる。これらの中で、遺伝毒性や局所刺激性に関するin vitro試験法については経済協力開発機構(OECD)試験法ガイドライン(TG)が汎用されつつある。これらのTGは有害性の同定にしか利用できないが、結果が陰性であればリスクを評価する必要はなくなる。医薬品の主剤はともかく、添加剤の安全性評価においては、動物実験の3Rs*を念頭にin vitro試験法を用いた許認可が進むべきと考える。

*動物実験の3Rs:RusselとBarchが提唱した使用動物数を削減すること(reduction),実験動物の苦痛軽減と動物福祉を進めること(refinement),および動物を用いる試験を動物を用いない,あるいは系統発生的下位動物を用いる試験法に置換すること(replacement),という原則を指す。

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