日本毒性学会学術年会
第44回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-171
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テトラサイクリンによる脂肪肝のメカニズム解析及び血漿中バイオマーカー探索
*齊藤 公亮斎藤 嘉朗
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抄録

【緒言】非臨床において脂肪肝を誘発した化合物が,臨床で肝障害を引き起こす事例は医薬品の開発においてしばしば経験する事象である。代表的なテトラサイクリン系抗菌薬のテトラサイクリンは,臨床において脂肪肝及びそれに伴う肝不全を引き起こすことが知られているが,これらの発生機序あるいは予見性のあるマーカーに関しては,一定の見解は得られていない。そのため,テトラサイクリンによる脂肪肝に関するメカニズム解析及び血漿中バイオマーカー探索は,医薬品開発上,有用な知見となることが期待される。そこで我々は,脂質メタボロミクスを利用し,テトラサイクリンによる脂肪肝に関与するバイオマーカー探索を行った。
【方法】雄性SDラット (投与開始時6週齢,8匹/群/解剖時点) に単回あるいは7日間,テトラサイクリン (25及び50 mg/kg) を腹腔内投与し,血液及び肝臓を採取した。肝臓中のリン脂質,スフィンゴ脂質及び中性脂質を超高性能液体クロマトグラフによって分離後,フーリエ変換型質量分析計を用いて測定した。7日間反復投与後のテトラサイクリン低用量投与群及び媒体投与群間で多変量解析 (OPLS-DA)を行い,S-plotによってバイオマーカー候補を同定した。また,肝臓中の中性脂質含量を別途測定した。
【結果】テトラサイクリン投与により,肝臓中の中性脂質は増加しており,25 mg/kg群では単回投与から脂肪肝が引き起こされていると考えられた。Day 7のデータを用いて多変量解析を行い,バイオマーカー候補を抽出した。また血漿を用いて同様の解析を行い血漿中バイオマーカー候補を探索した。

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© 2017 日本毒性学会
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