日本毒性学会学術年会
第44回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-252
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一般演題 ポスター
ヒト肝細胞キメラマウスを用いた様々な医薬品の肝障害リスク評価
*榎本 初音西村 奈緒恵立木 秀尚
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抄録

【目的】ジェネリック医薬品は先発医薬品と治療学的に同等と保証された医薬品であるが、一部の医療関係者からは副作用や安全性に対する懸念の声が上げられる。我々は、ヒト肝細胞キメラマウスとトキシコゲノミクスの手法を用い、副作用の一つである薬剤性肝障害について先発医薬品とジェネリック医薬品を比較する手法「T-LEX®法」を開発してきた。本研究では、重大な副作用として肝機能障害が懸念され、且つ最近ジェネリック医薬品が販売された様々な薬物の先発医薬品とジェネリック医薬品の薬剤性ヒト肝障害リスクをT-LEX®法により評価した。
【方法】LD50の1/10量のオランザピン、ボリコナゾール、テルミサルタン、エンテカビル錠の先発医薬品とジェネリック医薬品をそれぞれ、ヒト肝細胞キメラマウス(PXBマウス®:フェニックスバイオ)に1日1回3日間、経口投与した(各n=3)。コントロールには溶媒のみを投与した(n=9)。最終投与の24時間後にヒト肝臓からtotal RNAを抽出し、マイクロアレイにより、遺伝子発現解析を行った。先発医薬品とジェネリック医薬品をそれぞれ、コントロールと比べ遺伝子発現量の比(Fold-Change)が1.5以上増加もしくは0.67以下に減少した全遺伝子を抽出し、両製剤の相関係数を算出した。同様に、17種類の肝障害に関連するpathwayでも、両製剤の相関性を評価した。
【結果・結論】ジェネリック医薬品と先発医薬品投与時に変動した遺伝子のFold-Change値より算出した相関係数は、すべての薬物で非常に高い相関性(r≧0.97)を示し、肝障害関連pathwayでもすべてのpathwayで、高い相関性(r≧0.80)を示した。以上の結果より、最近販売された4種類のジェネリック医薬品は先発医薬品と同程度の肝障害リスクであると考えられた。

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