日本毒性学会学術年会
第44回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-272
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一般演題 ポスター
活性イオウ分子およびその産生酵素は1,4-NQ曝露によるHSP90/HSF1シグナルの活性化を抑制する
*広瀬 玲子安孫子 ユミ新開 泰弘鵜木 隆光土屋 幸弘渡邊 泰男赤池 孝章熊谷 嘉人
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抄録

[目的] 我々の研究成績より、環境中親電子物質が細胞内レドックスシグナル伝達経路を活性化することが示唆されている。また、システインパースルフィドを始めとする分子内に「可動性硫黄原子」を有する活性イオウ分子 (RSS) は、環境中親電子物質と反応してイオウ付加体を形成することが考えられる。本研究では、大気中親電子物質のひとつである1,4-ナフトキノン (1,4-NQ) によるHSP90/HSF1シグナルの活性化とそれに対する活性イオウ分子産生酵素であるcystathionine β-synthase (CBS) とcystathionine γ-lyase (CSE)、およびRSSの効果について検討した。
[結果・考察] A431細胞を1,4-NQに曝露すると、1,4-NQがセンサータンパク質HSP90のシステイン残基をS-アリール化することで転写因子HSF1を活性化して、その下流遺伝子であるHSPA6 の顕著な転写誘導が見られた。リコンビナントHSP90を用いた質量分析解析の結果、1,4-NQはHSP90のCys412およびCys564に共有結合することがわかった。パースルフィドNa2S2およびポリスルフィドNa2S4処置により、1,4-NQ曝露によるA431中タンパク質のS-アリール化およびHSF1の活性化は抑制された。逆にCBSおよびCSEをノックダウンすると、A431中タンパク質のS-アリール化およびHSF1の活性化は増強された。さらに、CBSあるいはCSEの酵素反応液に1,4-NQを添加すると、1,4-NQの未変化体は減少し、代わりに構造の異なる1,4-NQのイオウ付加体が検出された。以上より、1,4-NQはHSP90/HSF1シグナルを活性化する大気中親電子物質であり、本活性化をRSSおよびその産生酵素が負に制御していることが示唆された。

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© 2017 日本毒性学会
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