日本毒性学会学術年会
第44回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-47
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優秀研究発表 ポスター
ビスメチル水銀スルフィドの生成を介したニンニクのヘキサン抽出成分によるメチル水銀の毒性軽減
*Yunjie DING安孫子 ユミ秋山 雅博熊谷 嘉人
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抄録

【目的と背景】メチル水銀(MeHg)は高い親電子性を有し、タンパク質の求核基であるシステイン残基に共有結合することで毒性を発現する。近年、我々はMeHg曝露ラットおよびマウス臓器中から、MeHgの新規代謝物の一つとしてMeHgのイオウ付加体であるビスMeHgスルフィド[(MeHg)2S]を同定し、(MeHg)2S中のイオウ原子の由来がシステインパースルフィド(CysSSH)やグルタチオンパースルフィド(GSSH)などの活性イオウ分子(RSS)であることを示した。親電子性を有さない(MeHg)2Sは、MeHgよりも遥かに毒性が低いことから、RSSは生体内においてMeHgの不活性化および解毒に関与する因子と考えられた。一方、植物中にも多様なイオウ化合物の存在が知られており、古くから香辛料として使われるニンニクには、S-S結合に由来する親電子性イオウだけなく、求核性イオウも含有する可能性が考えられる。そこで、本研究ではニンニク中成分による(MeHg)2S形成を介したMeHg毒性軽減効果について検討した。
【結果・考察】ニンニクのヘキサン抽出物をMeHgと反応させると(MeHg)2Sが生成することから、ニンニク抽出物中にはRSSを含有する低分子成分が存在することが明らかとなった。さらに、本抽出物とMeHgをマウスに混合投与した結果、MeHg単体投与で見られた体重の減少や生存率の低下が有意に改善された。これらの結果から、ニンニク由来のRSSがMeHgと反応して(MeHg)2Sを生成することで、MeHgの毒性を中和することが示唆された。また、マウスへの本抽出物の経口投与は、血漿中のRSS量を増加させた。このことは、ニンニク中のRSSの可動性イオウ原子が生体内のCysSHやGSHの酸化体に付加することで、CysSSHやGSSHのようなパースルフィドを生成することを示唆している。

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© 2017 日本毒性学会
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