日本毒性学会学術年会
第44回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-65
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優秀研究発表 ポスター
ゼブラフィッシュ胚発生毒性試験における高脂溶性薬物の胚への取込量の測定
*縄司 奨溝口 直洋久樂 喬松浦 武関 雅範
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抄録

【背景・目的】近年、動物愛護の観点から哺乳動物を用いる既存の発生毒性試験の代替法としてゼブラフィッシュ(ZF)胚を用いた評価系が注目されている。しかし、ZF胚の試験では、ばく露する化学物質の水溶液濃度での評価が殆どであり、胚本体への正味の取込量に関する知見は極めて少ない。また、化合物の物理化学的性状等による取込の挙動の差異について比較した例は殆ど無い。そこで、我々は昨年の日本毒性学会において、ヒト及びZFの発生毒性物質のうち水溶性の高いカフェイン[CA;log Kow -0.07(SDS情報)]及びバルプロ酸ナトリウム[VA;log Kow 0.26(デパケン®IF情報)]について、ZF胚への取込量及び取込速度の測定・解析を実施し、両物質共に96 hpf付近で定常状態に達する飽和曲線が得られたことを報告した。本研究では、新たに高脂溶性の発生毒性物質としてジエチルスチルベストロール[DES;log Kow 5.07(SDS情報)]を選定し、ZF胚への取込量を測定し、CA及びVAの結果と比較した。【方法】DESを設定濃度[1.07~0.0671 mg/L(公比2)、5濃度]になるよう調製し、ZF(NIES-R株)の受精卵を28.5±0.5℃の環境下で受精後約4時間(4 hpf)~6日までばく露し、24時間ごとに顕微鏡下で症状観察を行った。0.268、0.537及び1.07 mg/L区の3濃度区については、24時間ごとに個体を取り上げ、前処理後にHPLCにて濃度分析を実施した。
【結果・考察】症状観察の結果、濃度依存的に奇形及び死亡が確認され、良好な用量反応が得られた。胚取込量は、24~72 hpfで水溶液濃度の数百倍のオーダーまで経時的に増加した後、96~144 hpfでは最大値の半分以下の濃度まで経時的に減少する山形の推移となり、CA及びVAとは異なる挙動を示した。この推移は、ZF胚の卵黄が発生・生育に利用され、胚中の脂肪量が経時的に減少することが原因であると考えられ、化合物が高脂溶性であるほど、胚への化合物取込量は胚中脂肪量変化によって顕著に変動することが示唆された。

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© 2017 日本毒性学会
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