日本毒性学会学術年会
第44回日本毒性学会学術年会
セッションID: S29-5
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シンポジウム29 重金属の細胞毒性に対する新しい防御分子と防御系
カドミウムに対する活性イオウ分子を介した毒性防御システム
*新開 泰弘熊谷 嘉人
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抄録

 環境中親電子物質の1つであるカドミウム(Cd)は、タンパク質のシステイン残基を修飾することによってその機能障害を引き起こし、それが毒性発現の一因であると考えられている。一方、低濃度条件下において、生体はそのような反応性の高い化学物質に対して、センサータンパク質の化学修飾を介してシグナル伝達経路を活性化させることで生体防御系の遺伝子発現を亢進させる応答システムを有することが分かってきた。例えば、Cdはセンサータンパク質であるKeap1やHSP90を修飾し、それぞれの応答分子であるNrf2やHSF1が活性化されることで下流の防御タンパク質が誘導され、Cdの毒性防御に働くことを明らかにしてきた(Shinkai Y et al. Toxicol Appl Pharm 2016; Shinkai Y et al. Toxicol Sci 2017)。また、このようなセンサータンパク質だけでなく、細胞内にはシステインやグルタチオンのような求核低分子が存在し、親電子物質を捕獲・不活性化する防御系が存在する。我々は最近、cystathionine γ-lyase(CSE)やcystathionine β-synthase(CBS)が生体内においてシスチンを基質として、システインパースルフィドやポリスルフィドなどの高い求核性を有する活性イオウ分子種を産生し、これらが環境中親電子物質であるメチル水銀の解毒・不活性化に関わっていることを見出した。したがって、Cdによって引き起こされるシグナル伝達経路の活性化(低濃度)および毒性発現(高濃度)は、活性イオウ分子によって負に制御されていることが予想された。
 本シンポジウムでは、CSE欠損マウスを用いた最近の研究成果や、ポリスルフィドのモデル化合物であるNa2S4を用いたCdの化学防御についても紹介し、Cdの捕獲・不活性化における活性イオウ分子の意義について考察したい。

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© 2017 日本毒性学会
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