日本毒性学会学術年会
第45回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-260
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一般演題 ポスター
メチル水銀による活性イオウ分子種依存的レドックスシグナルの破綻
*居原 秀北村 篤志笠松 真吾井田 智章西田 基宏澤 智裕熊谷 嘉人赤池 孝章
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抄録

【背景・目的】メチル水銀(MeHg)は、環境中に存在する親電子分子であり、神経毒性を示すことが知られている。我々は、MeHg毒性が、神経型一酸化窒素合成酵素(nNOS)により増悪され、親電子性レドックスシグナル二次分子である8-ニトロ-cGMPにより媒介されることを明らかにした。また最近、レドックスシグナル制御因子として活性イオウ分子種(RSS)を発見している。本報告では、RSSによるMeHg毒性の制御機構について報告する。

【方法】ラット小脳顆粒神経細胞を用いて、低濃度のMeHg処理による細胞内RSSの動態への影響を、蛍光イメージング解析および質量分析(LC-ESI-MS/MS)を用いて検討した。8-ニトロ-cGMP の産生は、蛍光免疫染色、LC-ESI-MS/MSを用いて解析した。親電子性H-Rasシグナルは、プルダウンアッセイ、ウェスタンブロットにより解析した。また、MeHg毒性および8-ニトロ-cGMPによるH-Rasシグナル経路に及ぼすRSSの影響について解析した。

【結果・考察】蛍光プローブを用いた蛍光顕微鏡観察およびLC-ESI-MS/MSにより、ラット小脳顆粒神経細胞でMeHg処理によるRSSレベルの減少、活性酸素種(ROS)および8-ニトロ-cGMP産生の増加を確認した。また、MeHg処理により、8-ニトロ-cGMPに依存的なH-RasとERKが活性化し、それに伴い、細胞毒性が誘発されていた。一方、RSSドナー処理によって細胞内RSSの減少、ERKの活性化、MeHg毒性は回復した。以上の結果から、MeHgは、RSSを枯渇させ、8-nitro-cGMPなどによる内因性親電子シグナル制御を破綻させることで、細胞毒性を発揮することが明らかとなった。

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