日本毒性学会学術年会
第46回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-231
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ポスターセッション
メタロチオネイン1発現制御に関わるCpG領域の特定に向けた検討
*小串 祥子木村 朋紀
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抄録

【目的】金属結合性タンパク質メタロチオネイン(MT)は、ZnやCdなどの過剰曝露により誘導され、その発現制御機構については、金属応答性転写因子MTF1を介した経路がよく知られている。MT発現の低下とDNAメチル化との関連が報告されており、エピジェネティックな遺伝子発現制御機構もMT発現に関与すると考えられる。また、MTは、発がんやがんの進行への関与が指摘されており、MT遺伝子領域のDNAメチル化解析が予後マーカーとして利用できるのではないかと期待されている。しかしながら、どの領域のメチル化が、MT発現に関わるのかについての解析は未だなされていない。当研究室では、MT発現が恒常的に抑制されているP1798細胞において、脱メチル化剤5-azacytidine処理後にCd処理すると、MT1発現が認められない細胞と高発現細胞とに分かれ、MT1プロモーターに存在する5つのMTF1結合配列、MREa~MREeのうち、MREdおよびe付近の特定のCpG配列がMT1発現細胞では必ず脱メチル化されていることを見出しているので、この知見を手がかりに、MT発現制御に関わるCpG領域の特定を目指した。

【方法】CpG部位を含まないレポーターベクターであるpCpGfree-LuciaにMT1プロモーター領域を連結し、CpG methyltransferseによるメチル化処理の影響を解析した。また、特定のCpG部位がメチル化されないように変異導入したベクターも構築し、同様の解析を行った。

【結果・考察】MT1プロモーター領域を連結したベクターではメチル化による有意なレポーター活性の減少が見られたが、MREdおよびe付近のCpG部位に変異導入するとメチル化による活性減少が見られなくなった。このことから、MREdおよびe付近の特定のCpG 配列がメチル化によるMT1発現抑制に影響を与えるのではないかと考えられる。

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© 2019 日本毒性学会
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