日本毒性学会学術年会
第47回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-241
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ヒトiPS細胞を用いたシグナル経路に基づく催奇形性試験法構築への試み
*菅野 聖世大久保 佑亮北嶋 聡福田 淳二
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抄録

【背景】現行の発生毒性試験は膨大な動物数・時間・経費を必要とするため、動物実験に替わり化学物質の催奇形性作用を検出可能な代替法が求められている。さらに、催奇形性物質の影響は動物種や胎児の発生段階によって異なるため、ヒトの各発生段階における催奇形性を評価可能な代替法を開発する必要がある。今回、我々は多能性を持つヒトiPS細胞を用いた新規のin vitro試験法構築を試みた。初期胚発生や器官形成において細胞の増殖、分化および形態形成を制御するシグナル経路に注目し、化学物質がそれらに及ぼす影響を検出することで催奇形性の評価が可能ではないかと考えた。

【方法】文献情報から初期胚発生および器官形成において重要なシグナル経路とその下流の転写因子 (FGF (SRF)、Wnt (β-catenin)、TGF-β (SMAD2/3)、BMP (SMAD/1/5/8)、Hedgehog (GLI1)、Notch (RBP-J))を選定した。各転写因子の応答配列下流でNanoLuc Luciferase遺伝子を発現し、また内部標準としてユビキタスプロモーター下流でFirefly Luciferaseを発現するレポーターベクターを作製した。ヒトiPS細胞のゲノム (AAVS1領域)にCRISPR/Cas9システムを用いてレポーター遺伝子をノックインし、各シグナル経路のレポーター細胞を樹立した。

【結果・結論】各シグナルのレポーターベクターを293T細胞にトランスフェクションしたところ、リガンド濃度依存的に各シグナルレポーターの発光強度が増加した。このレポーターベクターをドナーDNAとしてヒトiPS細胞にゲノム編集を行い、各シグナル経路応答性のレポーター細胞を樹立することに成功した。今後は各レポーター細胞に既知の催奇形性および非催奇形性物質を暴露し、催奇形性が評価可能なのか検証する。

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