日本毒性学会学術年会
第48回日本毒性学会学術年会
セッションID: S1-5
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シンポジウム1
リキッドバイオプシーによる毒性評価
*小野 竜一
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抄録

血液中には、血液細胞の他に血流中を循環するcell free DNA や cell free RNAに加えて、分泌顆粒として知られるエクソソームが存在する。エクソソームは、40-120 nm 程の大きさで、その中には mRNAs、miRNAs及びDNA を含むことが知られ、他の細胞に取り込まれることによって、遺伝情報を他の細胞に伝達することが知られている。近年になって、がん細胞はがん細胞特異的なエクソソームを分泌することが明らかにされ、腫瘍細胞特異的なエクソソームをバイオマーカーとしてリキッドバイオプシーを行うことで、高精度な早期癌診断が謳われていることから、我々はエクソソーム中のRNAをバイオマーカーとしたリキッドバイオプシーによる毒性評価系の開発を行なった。

今回我々は、四塩化炭素をはじめとした化学物質、医薬品を経口投与した雄性C57BL / 6Jマウス血液中のエクソソーム中のRNAの包括的なシーケンス解析を行なった。その結果、肝毒性の新規バイオマーカー候補となるエクソソームに含まれるsmall RNAの同定に成功した。これらの中には、新規の転写産物が含まれ、新規miRNAも含まれていた。これらの新規毒性バイオマーカーを利用したリキッドバイオプシーは、化学物質、医薬品等に係る迅速な安全性評価に貢献できるものと考える。

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