日本毒性学会学術年会
第48回日本毒性学会学術年会
セッションID: S15-4
会議情報

シンポジウム15
アロマターゼ活性阻害作用が繁殖機能に及ぼす影響
*吉田 しおり
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

シトクロムP450は生体でのステロイド合成に重要な酵素群であり、性ホルモン合成のみならず、エクジソンなどの昆虫ホルモン合成にも関わることから殺虫剤の作用標的のひとつとして重要である。哺乳類ではP450の1種であるアロマターゼの活性阻害によりエストロゲン合成が低下すると、繁殖性に影響する可能性がある。そこで、P450阻害作用を有する新規有機合成化合物がラットのアロマターゼ活性阻害および分娩へ及ぼす影響について検討した。

アロマターゼ活性は、Human CYP19と[1β-3H(N)]-Androst-4-ene-3,17-dioneを用いてin vitroにて測定した。非妊娠ラットに本化合物を0、20、80、200 mg/kgの用量で14日間反復強制経口投与し、性周期の確認および血清中エストラジオール濃度を測定した。また、妊娠6日から19日まで0、40、80、150 mg/kgの用量で反復強制経口投与したラットにおいて妊娠20日目に母獣の血清中エストラジオール濃度を測定した。妊娠6日から21日まで80 mg/kgの用量で投与した分娩群も設定した。

アロマターゼ活性測定において、本化合物は可逆的な競合阻害(IC50=0.097µM)を示した。14日間反復投与では、200 mg/kg群において性周期が停止したが、体重増加抑制を伴ったため、本化合物の直接的な影響か判断できなかった。妊娠動物では、80および150 mg/kg群でエストラジオール濃度が低下した。分娩群では、分娩の遅延および新生児死亡率が増加した。

以上より、P450阻害作用を有する本化合物は、アロマターゼ活性の阻害を介してエストラジオール濃度を低下させることにより、分娩遅延および死産児の増加をもたらしたと考えられた。

著者関連情報
© 2021 日本毒性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top