日本毒性学会学術年会
第49回日本毒性学会学術年会
セッションID: S6-3
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シンポジウム6
ヨーロッパにおける農薬のハチに関する環境リスク評価試験についての現状と将来
*関根 達也
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抄録

農薬の環境毒性試験は、ハチに影響を及ぼすと考えられる農薬が対象となる。生物多様性の観点からヨーロッパでは、ミツバチのみならずマルハナバチとソリタリービーも農薬の環境毒性試験が将来的に考えらる。2013年にGuidance Document on the risk assessment of plant protection products on bees (Apis mellifera, Bombus spp. and solitary bees) がEuropean Food Safety Authorityから出されている。

ミツバチの実験室での試験はOECDのガイドラインで確立しているのでミツバチ試験の概要を見てマルハナバチとソリタリービー試験の将来への可能性をみる。

ミツバチ試験の場合、第一段階として、ミツバチの発育過程の違いによる実験室における急性接触、経口試験(OECD 213と214)、10日間の経口慢性毒性試験(OECD 245)及び7日齢までの単回幼虫試験(OECD 237)と22日間の幼虫試験(OECD 239)を実施する。

実験室の試験でミツバチに影響がある場合には、セミフィールド試験(トンネルを使用したEPPO170及びOECD75,経口投与によるオーメンデルイター試験)が必要となる。

セミフィールド試験で影響があった場合には、フィールド試験に移行する。

現時点ではマルハナバチのOECD ガイドラインは急性接触、経口試験(246と247)のみで、10日間の経口慢性毒性試験とトンネル試験はInternational Commission for Plant-Pollinator Relationshipsの作業部会で検討中である。

ソリタリービーに関してはICPPRの作業部会で実験室での急性接触、経口試験を実施しており試験方法の確立に向けて準備を進めている。

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