日本毒性学会学術年会
第50回日本毒性学会学術年会
セッションID: P3-274
会議情報

一般演題 ポスター
毛細胆管形成と高代謝機能を両立する類肝組織による肝毒性評価の検討
*内藤 靖之芳之内 結加服部 光一入江 新司北野 史朗松崎 典弥
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【背景】薬物性肝障害(DILI)は、医薬品の開発/販売中止の主要因であるが、DILIの作用機序は複雑且つ多岐に渡るため、臨床試験前、あるいは後においても、そのリスクを正確に予測することが困難である。ヒト由来細胞からなる人工組織を用いた毒性予測試験も試みられているが、毛細胆管等の機能的な構造の再現や、代謝関連遺伝子の長期間の維持等、求められる特徴を包括的に備えた人工肝組織の提示は依然として困難な課題であり、その毒性予測の精度についても更なる改善が期待される。【目的】毛細胆管形成と高代謝機能を両立する類肝組織の作製、および同組織を用いた毒性評価系の検証【方法】キメラマウス由来ヒト肝細胞(PXB cell??)を、へパリンおよびコラーゲンの懸濁液で処理することにより凝集性を有する「粘稠体」を形成し、同粘稠体をハイドロゲル内に包埋し細胞を自発的集積させることで類肝組織を作製した。同組織について肝臓機能の評価と毒性評価ツールとしての利用可能性を検証した。【結果】同一のPBX cellから作成したサンドイッチ培養モデル、スフェロイドモデル、および本類肝組織のトランスクリプトーム解析から、本類肝組織の代謝関連遺伝子の発現がこれらの従来モデルよりも高く、実際の肝内での発現パターンにより類似していることを確認した。また、本類肝組織は、その肝細胞間に毛細胆管構造が形成されており、胆汁うっ滞毒性を誘引する副作用が知られるCyclosporine Aの毒性評価を、スフェロイドよりも20倍以上高い感度でその毒性を予測可能であった。更に、本類肝組織およびスフェロイドモデルに対して48種の毒性/非毒性化合物の暴露を行い、臨床でのリスクとの一致度についてLTKBのDILIランクを参照し比較したところ、本類間組織においてより一致率が高くなる傾向が示された。

著者関連情報
© 2023 日本毒性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top