日本毒性学会学術年会
第51回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-145
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一般演題 ポスター
Caco-2細胞腸管上皮モデルにおけるポリスチレン粒子の透過へのタイトジャンクションの関与の検討
*中川 博史大川 千明Md. Anamul HAQUE西村 和彦
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抄録

【目的】マイクロプラスチックの範疇に含まれる直径0.1 µm程度の比較的大きなポリスチレン粒子をマウスに経口投与すると、腸管上皮を通過し内部臓器に到達するという報告がある。我々はこれまで、Caco-2細胞腸管上皮モデルにおいて、直径0.1 µmのポリスチレン粒子が細胞に取り込まれ、その一部はlysosomeに取り込まれること、そして、タイトジャンクション(TJ)構成タンパクの局在に変調を起こすことを報告した。本研究では、lysosomeが起点となりうるTJに変調を与えるシグナル因子の候補としてmTORシグナルに着目して、ポリスチレン粒子の影響を評価した。さらにポリスチレン粒子の腸管上皮モデルにおける透過に、TJが関係する細胞間隙を介した傍細胞輸送経路が関与するのか検討を行った。

【方法】Caco-2細胞腸管上皮モデルに200 µg/mlのアミノ基修飾された直径0.1 µmの蛍光ポリスチレンビーズを24時間処置した。TJ機能はTEERの測定により、傍細胞輸送はFITC-dextranの透過量により評価した。TJ構成タンパクはウエスタンブロットおよび免疫蛍光染色にて観察した。mTOR活性はP70S6Kのリン酸化で評価した。

【結果と考察】ポリスチレン粒子がlysosomeに集積し、mTOR活性が減少するとともにTJ構成タンパクの局在に変調を起こし、TEERは減少した。一方で、傍細胞輸送へのポリスチレン粒子処置の影響は見られなかったにも関わらず、ポリスチレン粒子は腸管上皮モデルを透過した。よって、ポリスチレン粒子が腸管上皮を透過するにあたって、その大部分は細胞間隙ではなく細胞通過transcytosisに依存していると考えられた。またポリスチレン粒子の透過に関係はなかったものの、TJの変調はウイルス等他の因子の透過性に影響を与えることが予想される。

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