抄録
【背景】
A病院は、院内急変対応システム(Rapid Response System:以下RRSとする)導入後約3年が経過した。救急外来看護師は、Rapid Response Team(以下RRTとする)の一員であり、コードブルー要請時も救急科医師と共に対応を行っている。RRS導入後2年間のRRSおよびコードブルー症例を振り返り、現状と課題について報告する。
【結果】
RRS導入後の2年間の院内急変について、各項目総数および導入後1年目、2年目と単純比較した。RRS要請件数は 1年目11件、2年目24件で、コードブルーは1年目25件、2年目18件で2年間の事象合計は78件であった。
RRS、コードブルー症例を、要請時刻より12時間前まで遡り、経過記録より前駆症状の有無について調査した。インシデントレベル3b以上の症例のうち、RRSおよびコードブルー併せて21件の症例に、要請12時間前に何らかのRRS要請基準を満たすバイタルサイン異常が認められ記録されていた。記録されていた症例は、RRS 12件、コードブルー 9件であった。そのうち、要請までに6時間以上経過している症例は10件、残りの31件には前兆症状と捉えられるバイタルサインの記録が残されていなかった。前兆症状として最も多かったバイタルサイン異常は、RRSおよびコードブルー共にSpO2低下であった。バイタルサインの血圧、心拍数、SpO2値は多くの症例で記載されていたが、呼吸数は、RRS 2件のみだった。
【結論】
1.RRS導入後2年間において、数値比較では経年的にRRS要請は増加、コードブルー要請は減少傾向にある。
2.急変前の前兆症状として、SpO2低下がRRS、コードブルー共に多かったが、呼吸数の記録は2件のみだった。今後、呼吸数を含めたバイタルサイン異常を早期に捉えることができるよう啓蒙教育が必要である。