東洋音楽研究
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蒙古の唄
曲譜と解説
武田 忠一郎
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1951 年 1951 巻 9 号 p. 147-154

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抄録

之は主としてモンゴンワチル君 (ジュルメンチョゴラン、ホーチンスルクホジュゴ出身― 蒙和敖齋爾、哲里木盟陳蘇魯克旗出身) 及ウルヂボイン君 (察吟爾盟出身) につき聽取したる蒙古の古い民謠 (現在もよく謠はれてゐるもの) を蒐集したものである。私は多年我國各地方の民謠及舞曲を採譜し之を研究して居るが、その比較研究の必要に迫ちれて蒙古の唄も聽いてみたところ、やはり日本古謠の或種のものと非常に似通つてゐる點の多いことを發見して驚いた。そして日本の子供等は何の不思議も無く之れ等蒙古の唄を受け入れたのである。私はその曲節の清純さと明朗さとに接して、健全そのものであるといふ感じに打たれ、かくの如き唄を持つ蒙古の人達に對し更に一層親愛の念を深めて來たのである。尤もこれ等蒙古の唄は詩の内容なり詩型なり、又た曲型に於て面白い特質があつて、研究に價すべき種々の材料を私に提供して呉れた。

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