運輸政策研究
Online ISSN : 2433-7366
Print ISSN : 1344-3348
研究
自家用自動車起因の温室効果ガス削減ための権利取引制度の評価
-燃費取引制度を中心として-
岡田 啓
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2008 年 11 巻 2 号 p. 002-013

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抄録

燃費規制と自動車税のグリーン化のポリシーミックス,燃料価格の高騰や景気の影響などにより交通部門のCO2排出量は減少傾向にある.政府は,目標を確実に達成し,追加的なCO2排出量削減を交通部門において実現させるために,燃費規制強化を中心としたCO2排出量削減政策をまとめている.しかしながら,日本政府が実施している燃費規制と自動車税のグリーン化のポリシーミックスにて燃費性能の高い自動車を普及させCO2排出削減を図ることは,温室効果ガスの削減費用が高いもしくは厚生損失を生じさせる.そこで本研究では,近年注目されつつある,社会的厚生の損失を抑えつつCO2等の温室効果ガスを抑制する政策である,権利取引制度を応用した燃費取引制度についての効果の評価を行う.この政策による自家用自動車起因のCO2削減効果と社会厚生の変化を評価するために,本稿では簡便なシミュレーションを実施した.シミュレーションの結果,燃費取引制度は燃費規制よりも社会的厚生を損なうこと無くCO2削減をできる政策であるものの,CO2削減の幅は燃費規制よりも小さくなることが判明した.

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© 2008 一般財団法人運輸総合研究所
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