2009 年 12 巻 2 号 p. 026-032
日本の国際航空路線開設の自由化政策「アジア・オープンスカイ」が実現すると,日本各地の空港とアジアの主要空港との間に直行便を就航させやすくなる.これらの空港周辺では地域内総生産(GRDP)が増加するが,直行便の運航により炭素排出量も増加する.本研究では,空間計量経済モデル(SARモデル)を用いて,これらの増加量を推計した.海外ハブ空港と日本の地方空港とを結ぶケースでは,東・東南アジア全体のGRDPを0.006%増加させることとなった.GRDPの増加は,新規路線が就航する地域の近隣地域にもスピルオーバーしている.一方,炭素排出による負の便益は,GRDPの増加額と比べると微小になった.