2010 年 12 巻 4 号 p. 032-041
近年,2008年秋の経済危機以前より,わが国の国際航空貨物は減少傾向を示している.本研究では,その要因を貿易統計から把握し,航空と競合関係にある海上輸送との分担関係を説明し得る,輸送モード選択モデルを提案する.具体的には,貿易統計から,最近の航空貨物減少の主要因の1つとして考えられる輸出入貨物の落ち込みが大きいことが確認された.また,輸送モード選択モデルでは,物流総費用を考慮し,輸送日数や輸送費用に加え,商品価格下落率や在庫費用も含んだ新たなモデルを検討した.主要都市間の輸送サービスレベルや,例として扱った電機製品の商品価格,および価格下落率などを用いたモデル感度分析から,本モデルの妥当性が検証された.