抄録
目的 風合い問題の日常的発生に対して即応的に対処できるようなシステムを検討すること.この場合風合いの計測方法を確立することが最も重要な課題である.そのために本報文では「風合いとは (布の) 力学的特性を官能的にとらえたものである」という立場に立って (布の) 力学的特性の把握方法の問題, 力学的特性と風合いとを結びつける問題などに特に重点をおいて検討を加えている. 成果 1.風合いを第1図に示すように分類した. 2. (布の) 力学的特性を最も効果的に把握するために基本力学特性という概念を提出し, その内容を検討した. 3.風合い形容語を基本力学特性に結びつける一つの仲立ちとして基本風合いを設定した.基本風合いは基本力学特性についてできるだけ素直に官能的な言葉を与えてやることによって構成されたものである. 4.生のままに任意の風合い形容語で表現された風合いを基本風合いにほん訳する方法を提案した. 5.分類されたそれぞれの風合いについて, 測定された基本力学特性のデータから風合いをどのように読み取るかということについて検討した. 6.上記1から5までの成果をもとにして第5図に示すような風合い問題解決のためのシステムを提案し, 解決に至るまでのそれぞれのルートについて具体的な説明を与えた.