ばね論文集
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重ね板バネの一計算法
小林 市太郎
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1959 年 1959 巻 5 号 p. 75-87

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抄録

重ね板バネの内力, たわみ, バネ定数を計算するためにはいろいろな計算法が用いられているがこれを大別すると, 板端接触法と曲率法とがある。板端接触法も更に板問摩擦等を考慮に入れた計算法は六ケ敷しいものになっているがここにはこれについて述べることはしないで曲率法について述べることにする。
曲率法の中には重ね板バネが巾方向に展開される梯形になるので梯形バネとして扱い, これがたわんだ時中心部と先端部との間を直線の斜線で結んだ場合のたわみを算出することはでぎるが実際にはこの直線は複雑な曲線になるので, たわみの実数値を計算値と合わせるために実験によってこれに1個乃至3個位の係数を定めたわみの実数値を算出する総曲率法がある。これは使用するに当って便利ではあるし他の振動に関係する数値を得る時簡単に理解できる良い点もある, しかしその結果は実際に設計せられる場合を全部包含することはできない。
この度述べたいと思うのは中心部より先端までの曲率が重ね板バネの枚数に依り順次異って来るのでこれに応じたたわみ, モーメント, 内力等を求める曲率式の方法である。
次に重ね板バネの番号を長い方から#1#2#3……として中心部より先端部までのモーメントを#1の分担するものに案分すれば#1のモーメント曲線が得られる。このモーメント曲線が水平軸との間に描く面積を用いて面積モーメント法により#1のたわみを求めることができる。これが重ね板バネのたわみとなる。
内力は後で述べるがこのモーメント曲線をその位置の断面係数で割って得られ, これを曲線に描けば内力曲線が得られるしバネ定数はこのたわみをもって中心部の荷重を割れば得られる。
これらの数値はセクションペーパー1枚あれば, 重ね板バネの詳細の数値が得られて便利であると共に重ね板バネを構成している各板の長さが許容公差の間であっても図示の長さとは異った場合, または板の厚さが指定の厚さよりは許容公差の範囲内で厚い場合または薄い場合があってもこれらを皆計算の中に入れることがでぎると言う便利な点もあるので, この方法をここに公開することにした次第である。

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