日本においては, ばね用ステンレス鋼線としてSUS 304-WPBが広く用いられている. 耐疲労性あるいは耐熱性が要求される特殊な用途ではSUS 631 JI-WPC (17-7PH) が適用されている. 近年 (1980年), 米国において, サブゼロ伸線法によって強化された高強度の新しいばね用ステンレス鋼線がASTM A 313規格にType 302 Class 2として加えられた.
上記の各種ばね用ステンレス鋼線及びSUS 304 N2鋼によるばね用鋼線についての機械的性質, 疲れ特性, 耐食性などの比較試験を行なった. その結果, 耐熱性においてはサブゼロ伸線した線はSUS 304-WPBとSUS 631 JI-WPCの中間の特性をもっていた. 耐疲労性では, サブゼロ伸線した線はSUS 304-WPB及び一般のSUS 631 JI-WPCよりすぐれていた.