高応力化, 高硬度化した最近のばね材料において, 適切な非金属介在物の評価は疲労強度や品質保証の面から非常に重要な問題である. 本報告では国内各機関で実施されている各種非金属介在物評価の現状と問題点を把握する目的で行ったアンケート調査の結果を述べる. アンケートは製鋼メーカー, 製線メーカー, ばねメーカー及びユーザーを対象として行った.
回答の解析結果から, JISの顕微鏡試験法が最も多く用いられているが, ASTM諸法や, ミシュラン, ベカルトなど外国法も用いられていることがわかった. 非金属介在物測定における問題の中心は, 対象が弁ばねや懸架ばねの疲労問題に関係していることにあり, JIS法は製鋼段階での品質管理などには有効であるとしても, 疲労の起点としての介在物評価という点からは必ずしも有効とは言えない点にあることが指摘された.