多くの研究者によりコイルばねの応力問題についての研究がなされている. しかし, 円形もしくは長方形断面以外の線を使ったコイルばねの応力解析についてはほとんどなされておらず, H. O. Fuchsによる卵形断面についての簡易設計式が提案されているに過ぎない.
素線が任意断面のコイルばねの解析手法としては, 等角写像による方法, 有限要素法等が考えられるが, 前者では任意断面の写像関数の決定が困難であり, 後者は大形コンピュータと構造解析プログラムが必要となるのでコストの高い計算となる.
本論文では, フーリエ展開境界値平均法による任意断面コイルばねの応力解析法と解析例とを示し, 実験結果と比較した. その結果, 本解析法によれば, 実用上充分な精度で任意断面コイルばねの応力解析ができることが確認された.