ばね論文集
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耐へたり性に優れた冷間成形懸架ばね
横手 信久小曽根 敏夫新田 百男本間 達二沢 喬一郎
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1986 年 1986 巻 31 号 p. 9-12

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抄録

自動車の車体重量の軽減とばねの高度化により懸架コイルばねの線径は減少の傾向にある. その結果, 最近になって冷間成形ばねが注目を集めるようになってきている. しかし冷間成形コイルばねに用いることのできる材料は, 熱間成形用材料に比べ極めて少ないのが現状である.
これまで冷間成形用に手に入る材料は, わずかSAE9254があるのみであった. しかしSAE9254は耐へたり性がよくないために高応力化ばねには実質的に適用できないという問題を有している.
SAE9254自身はばね用オイルテンパー線として長い実績を有している. そしてこのSAE9254の耐へたり性を改善するための添加元素として, 今回V (バナジウム) を選択したが, それはVが材料の熱処理特性に直接影響を与えないので, SAE9254の熱処理技術をそのまま利用できるためである.
Vの添加により, 耐へたり性と耐腐食ばね疲労の改善を実現することができたが, V添加の最も大きな効果はオーステナイト結晶粒度の微細化である. 結晶粒度はNo. 9.5からNo. 12へと著しく微細化されたが, これが25%の耐へたり性の向上と耐腐食ばね疲労の改善に繋ったものと考えられる.

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