ばね論文集
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ばね用鋼材における非金属介在物の顕微鏡試験方法に関する研究
非金属介在物評価法委員会西島 敏鈴木 栄三新倉 芳治内堀 勝之寺下 勝森井 惇雄
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1987 年 1987 巻 32 号 p. 52-74

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抄録

高強度化した最近のばね材料にとって, その疲労強度を確保するためには, 非金属介在物の適切な評価が極めて重要となっている. 当委員会では先に共同研究により, 非金属介在物評価法としてこれまで提案されている6種類の顕微鏡試験法の比較を行った. すなわち, 面積率評価によるJIS法, 標準図を用いるASTM及びDINの方法, 並びに3種類のペナルティポイント法を取り上げ, 共通試料による比較試験を行って結果を解析した. その結果, 仮にPP-1法と名付けたペナルティポイント法の一つが, 今後, 試験評価手順を明確にし, 有効性の確認などを進めることによって, 標準試験法になりうると考えられることが分かった.
そこで本研究では, このPP-1法に基づいて定めた暫定試験法を用い, 同一強度で介在物レベルの異なる3種類のSi-Cr鋼のショットピーニングを施した鋼線について, 介在物の顕微鏡評価試験と回転曲げ疲労試験を参加委員各社の分担により実施し, 標準試験方法の検討を行ったものである. 顕微鏡試験方法としては, (1) 所定の検鏡面積内にあるすべての粒状介在物を大きさ区分毎に計数し, (2) 各区分毎の数にそれぞれ所定の評点係数を掛けて合計することにより, その試料の評点を求める方法を採用した.
疲労試験の結果を調べると, 高サイクル領域では破壊は介在物を起点として試験片の内部から起こっており, 従って起点の応力拡大係数を用いると疲労試験の結果が統一的に評価できることが分かった. このことから, 各大きさ区分毎の介在物の評点係数を合理的に定めることができ, その結果得られた評点が材料毎の疲労挙動の違いを良く予測することを明らかにした. そしてこれにより非金属介在物の顕微鏡評価方法を提案すると共に, 提案法がばね材料の疲労を考慮した評価識別のために十分実用的かつ有効であることを実証することができた.

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