各種ステンレス鋼線の大気暴露試験を、 海岸地区、 臨海工業地帯及び郊外の三ヵ所で10年間に渡り実施した。 その結果以下の事がわかった。 一般的なオーステナイト系ステンレス鋼線は発錆面積率や孔食密度は小さいが、 発生した孔食は深く進行する傾向があるので注意を要する。 フェライト系ステンレス鋼線は全面腐食的に進行するので発錆量は多いが、 深い孔食はむしろ少ない。 発錆面積率の大きい鋼種でも断面減少率はわずかなので引張強度の低下は小さかった。
暴露地の影響はCl-にさらされる海岸地区で最も劣化が激しく、 臨海工業地帯がこれに次いでおり郊外は緩やかであった。
ステンレス鋼線と他金属線と接触させて暴露すると、 相手が銅の場合は深い孔食が進み、 相手が亜鉛アルミなら防食される傾向にある。