ばね論文集
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楕円断面線ばねの実用設計式
長屋 幸助平田 康夫鶴見 豊明武田 定彦永井 健一谷藤 克也
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1991 年 1991 巻 36 号 p. 31-35

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抄録

円形断面以外の異形断面線はこれまでの研究によると, 丸線ばねに比べ小型化が図れること, 断面の偏平度と形状を適当に選択すると, 丸線ばねに比べ同じ断面積のばねで応力値を小さくすることができ, さらに固有振動数を高め, 動的応力値が丸線ばねに比べ小さくなるので動的変位・荷重を受ける機器のばねとしては有利であることが報告され, 自動車エンジン動弁系の弁ばねとして用いられるようになった. このような状況のもとでばね技術研究会では異形断面線ばね調査委員会を発足させ, ばね諸元の調査, 解析法の調査を行うとともに種々の方法による応力値の検討を円, 楕円, 卵型の三つの素線断面について行った結果, これまで注目されていなかった楕円断面線ばねが動弁系で使用されるばね諸元のもとでは, 他の二つに比べ応力的に有利であることを報告した. しかし現在のところ, その応力を求める実用設計式は確立していない. 本報ではこれらにかんがみ楕円断面線ばねの実用設計式を提案する. 一方ばねの巻数が少くなると, 一般に端末の影響が大となり, 端末を無視した解析が適用できない. 本報では, 楕円断面線ばねの端末を考慮した応力計算をも行い, 上記の実用設計式がどの範囲まで適用可能かも検討し, さらにばね設計に不可欠なばね定数の計算式をも示した.

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