1991 年 1991 巻 36 号 p. 47-53
ショットピーニングによる残留応力分布の疲労き裂伝播寿命への影響について, ばね鋼に関して研究した.
結果は以下のようにまとめられる.
(1) ばね鋼における微小き裂伝播開始条件を決定するために, 我々はHaddadの整理法に硬さおよび応力比依存性を考慮する方法を提案した.
(2) 疲労き裂伝播寿命向上には, 表面圧縮残留応力を高めることが非常に重要である.
(3) 疲労き裂伝播寿命の大半は疲労き裂が表面から圧縮残留応力が最大となる位置にまで伝播する間に費やされる.
(4) 内部の圧縮残留応力が最大となる位置は表面に近かければ近いほど, 疲労き裂伝播寿命は向上する.
(5) 本手法によって予測されるS-N曲線は, 実際の回転曲げ疲労試験結果とよく対応している.