樹木医学研究
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論文
酸欠と塩ストレスがマングローブ2種の苗木の成長と生理に及ぼす影響
沖田 総一郎谷口 真吾谷口 武士岩永 史子山本 福壽山中 典和
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2017 年 21 巻 4 号 p. 193-200

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抄録

沖縄県沖縄市で採取したマングローブ2種(ヒルギダマシ:Avicennia marinaとメヒルギ:Kandelia obovata)の実生を用いて,酸欠と塩ストレスが生存と乾燥重量成長,光合成速度,および糖含有量に及ぼす影響を実験的に検討した.酸欠処理区,塩処理区,酸欠・塩複合処理区,対照区の4処理区を設けて比較したところ,両樹種ともに塩処理による生存率と乾燥重量の低下が顕著であった.両樹種ともに塩と酸欠・塩複合処理区において光合成速度が著しく低下した.ヒルギダマシは塩処理区の処理後3週目に光合成速度の回復傾向が認められた.メヒルギは酸欠処理区でも実験終了時に光合成速度の低下が認められた.ヒルギダマシの可溶性糖類含有量については,各処理による影響は顕著ではなかった.一方,メヒルギの葉と根の可溶性糖類含有量は塩処理区と複合処理区で増加傾向が認められた.本実験結果から,ヒルギダマシの耐酸欠性と耐塩性はメヒルギに比べて高いことが示された.さらに,両種ともに酸欠と塩の複合処理は,それぞれの単独処理とは異なる影響を及ぼす可能性が示唆された.

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