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Tropics
Vol. 7 (1997) No. 1+2 P 35-53

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http://doi.org/10.3759/tropics.7.35

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西カリマンタンのフタバガキ科のShorea属の中には,テンカワンと呼ばれ,果実から油脂がとれ,経済的に有用な樹種が約10種類ある。果実は天然林・半天然林および植林から採集されてきた。このような人間の活動によってテンカワン林がどのように変化したかを研究するために,1991年に8つの調査地を設定した。かってのランダック王国の首都であったンガバンでは,それぞれ約1km2のテンカワン植林が,約百年前に王家によって,ランダック川沿いに2つ作られた。テンカワンの代表的な種であるShorea stenepteraは,自然の立地に似た川の近くの平坦な堤防に,S.amplexicaulisとS. pinangaなどは斜面に植えられた。それらは胸高直径(DBH)125 cm樹高49 mに達し,1991~1994年の平均直径成長速度は0.28(±0.32SD)cm/年であった。パラゴムHevea brasiliensisは平坦地に,昔ゴム生産に使われたPalaeuium guttaは斜面に,テンカワン下層木として栽培されていた。1haの調査地内にDBH 4.8 cm以上の樹木が123種あり,テンカワン天然林と大差ない多様性を持っていた。
ムアライレイ村近くの小さな川沿いの堤防の上に,半自然状態の最大DBH 186 cmに達するテンカワン林があった。元は天然林と思われるが不要な木を伐採し,パラゴムやドリアンなどをテンカワンの間に植栽していた。
ランダック川支流のダイド川沿いには,ほぼ自然状態のテンカワン林があった。森林構造は半自然林と似ているが,南米原産で逸出帰化したBullucin pentameraが見られる他は栽培種はなかった。平坦な砂質自然堤防上のテンカワン天然林では,5.stenopteraが胸高断面積合計の8割を占めるので,斜面のフタバガキ天然林よりずっと多様性が低かった。

Copyright © 1997 日本熱帯生態学会

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