2008 年 37 巻 p. 83-91
どのような社会構造をもつ温泉地でまちづくりへの取組みが盛んであるかを,「橋渡し型」と「結束型」の違いという社会関係資本論の枠組みに依拠しつつ,質問紙調査のデータによって計量的に分析した.
まちづくりへの取組みを時間の経過とともに進展していく過程として操作化し,質的比較分析によって分析した結果,つぎの2つの知見が得られた.① まちづくりの初発段階において重要なのは結束型社会関係資本である.② まちづくりの完成段階において重要なのは橋渡し型社会関係資本である.
これは,まちづくりの各段階において必要となる社会関係資本の種類が異なることを意味しており,橋渡し型と結束型との関係が単なる二項対立ではなく,時間の経過の中で複雑に交叉しながら創発的にまちづくり活動を促進している可能性を示唆している.