社会学年報
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小特集Ⅰ 概念・経験・相互行為
「いじめ」と「いじり」をめぐるドラマツルギー
「状況の定義」と自己呈示の関連性に着目して
木村 雅史
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2017 年 46 巻 p. 33-43

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抄録

 本稿の目的は,アーヴィング・ゴフマンの「状況の定義」論の観点から,「いじり」と呼ばれるコミュニケーションのあり方について扱ったメディア・テクストを分析することで,テクストが提供している「いじめ」と「いじり」の区別や関連性に関するカテゴリー適用の方法を記述・考察することである.
 ゴフマンの「状況の定義」論は,①「状況の定義」と自己呈示の関連性に着目している点,②人々の「状況の定義」活動を記述する枠組(「状況の定義」の重層性や移行関係)を提供している点において,独自のパースペクティブをもっている.本稿では,ゴフマンの「状況の定義」論の観点から,「いじめ」と「いじり」をめぐる「状況の定義」活動の記述・考察を行った.メディア・テクスト分析の結果,状況やオーディエンスの変化が,「いじめ」/「いじり」定義の維持や変化,それぞれの定義における意味世界の形成,参加者の自己呈示やその読みとられ方に影響を与えていることが明らかになった.本稿で分析したメディア・テクストは,それぞれ方法は異なるものの,「いじめ」カテゴリーと「いじり」カテゴリーの区別や関連性について,オーディエンスにカテゴリー適用の方法を提供している.

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© 2017 東北社会学会
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