1982 年 11 巻 2 号 p. 161-167
緑化葉型の病状を呈するコムラサキシメジを中心として, 土壌中におけるキノコ菌糸の発生生態を観察した結果, 次のことが明らかとなった。
同心円的に発生したフェアリーリングは常に新しい場を求めて外側に向って進展してゆくが, 地中を先行するキノコの菌糸はそう遠くにまで (約30cm以内) は及んでいない。そして, 内側の菌糸はリングの進展につれて内側のものから死滅し, 菌の生存しているのはリングから約30cm内である。フェアリーリングの菌は通常, グリーンおよびティでは表層から約9cmまでの有機物を含んだ土壌中で生活しており, 有機物の無い心土には不在である。