1983 年 12 巻 2 号 p. 179-183
(1) アシュラムは土壌中で比較的短期間に分解された。火山灰土壌では初濃度31.25~62.5ppmのアシュラムは2週間後には1/3に低下した。
(2) アシュラムは土壌よりサッチや芝草茎葉によく吸着したが, サッチにくらべて芝草茎葉からの脱着は比較的容易であった。粘土鉱物に対するアシュラムの吸着量はアロフェン, カオリナイト, ハロイサイトでは少なかったが, モンモリロナイではかなり多かった。
腐植の構成成分のフミン酸とリグニンに対する吸着量はいずれでも著しく多かったが, それらからの脱着量はわずかであった。
(3) アシュラムは土壌には吸着しにくく, 降雨後下方に移動した。しかし, 有機物や粘土含量の多い土壌では移動は比較的小さく, 特に表層にサッチがあると著しく小さかった。また, 乾燥土壌よりは湿潤土壌で下方移動が大きかった。