1986 年 15 巻 1 号 p. 18-24
本試験において, 明らかにされたことは道路法面の方位の違いが草類植生に多大な影響をおよぼすということである。
南斜面と北斜面とでは, 太陽からの光エネルギーの影響で, 日射量, 日照時間, 気温などの環境条件に大きな差がある。この環境要因が, 直接的には積雪, 融雪の程度, 土壌凍結, 地中温度, 照度に大きく関係し, 間接的には草類植生に影響をおよぼしている。
草種割合については, 南斜面ではホワイトクローバ, オーチャードグラス, ケンタッキープルーグラス, チモシーなど比較的耐暑性に強く, 粗剛な: 草種の割合が高く, 北斜面では耐陰性に優るクリーピングレッドフェスクの占める割合が極めて高くなっている。
草丈については, 環境要因および草種によって季節の生長量に差が生じている。しかし一般的な傾向として, 草丈は北斜面に比べ, 南斜面の方が大きくなっている。